今回はフェラーリ・SF90 XXストラダーレをご紹介致します。

フェラーリ初のプラグインハイブリッド(以下、PHEV)として誕生したSF90ストラダーレ/スパイダー(F173系)を母体として持つ、
ハードコアモデルがこのSF90 XXストラダーレ。モデルネームの『F173VS』の『VS』は『ヴェルシオーネ・スペチアーレ』の意味でフェラーリファンは言わずもがなのスペチアーレであることを示している。フェラーリのスペチアーレとして例の如く、
限定数が設けられておりSF90 XXストラダーレは世界限定799台、SF90 XXスパイダーは世界限定599台となっている。
また『XX』という名称に覚えがある人もいるだろう。そう、エンツォ・フェラーリをベースとした『FXX』や、
ラ・フェラーリをベースとした『FXX-K』、599をベースとした『599XX』などサーキット専用車に与えられた名称だ。
だがこのSF90 XXでは名称に『ストラダーレ』が付くようにナンバープレートが取得可能で公道走行が可能となった。
SF90 XXはサーキットを本籍としながらも従来のXXモデルでは成し得なかった初の公道走行可能なモデルなのだ。
そしてベースモデルとなったSF90ストラダーレ/スパイダーはフェラーリにとってPHEV車で最初のカタログモデル。
(ちなみにラ・フェラーリはPHEVではなくハイブリッドでスペチアーレ扱い。)PHEVという革新的な技術を盛り込んだ、
フェラーリ初のPHEVでありながらカタログモデルという点もフェラーリ社内ではSF90ストラダーレ/スパイダーは異色の存在だ。
SF90ストラダーレ/スパイダーではTipo F154型と呼ばれるV型8気筒エンジンを基本としたものを搭載している。
これは488GTBやポルトフィーノ、ローマ、F8トリブート/スパイダー等の車種にも採用されていた実績のあるエンジンであり、
SF90XXストラダーレ/スパイダーに搭載されるエンジンはTipo F154型をモディファイしTipo F154FB型という呼称となる。
スペックは4リッターのV型気筒DOHCツインターボエンジンにフロントに2基のモーター、リアに1基のモーターを組み合わせ、
エンジン本体だけで797PS(7,900rpm)/82.0kgf・m(6,250rpm)の最大出力に前後計3基のモーターによる補助で、
233PSとシステムの合計出力は1,030PSとなっている。
組み合わされるトランスミッションは8速のデュアルクラッチ式セミオートマチック。SF90ストラダーレ/スパイダーのものと基本的には同じものだが、変速タイミングなどSF90 XX用に味付けを変えてキャラクターに合せたものとなっている。
また余談だがこのトランスミッションにはバックギアが存在しない。「ではどうやってバックするの?」と疑問に思うだろうが、
フロントに装備された2基のモーターを前進と逆回転させてバックさせるという仕組みだ。
バックギアを排除することによりトランスミッション本体を少しでも軽く小型化するという合理的な考えだろう。
またSF90と同様にPHEVでモーターの補助がある296GTB/GTSもバックギアを持たずモーターを逆回転してバックする。



そしてSF90 XXはF50以降の公道走行可能モデルで初の固定式大型リアウイングを持つモデルである。
ベースモデルのSF90でも250Km/hでの走行時に約390Kgものダウンフォースを得られる設計となっているが、
SF90 XXでは高速での旋回性能と安定性を追求するためにフロントスプリッターの大型化やディフューザー形状の最適化、
アクティブ・エアロデバイス(シャットオフ・ガーニー)の改良、そして先述のリアウイングの追加により、
SF90の約390Kgのダウンフォース量から更に+35%増しの530Kgものダウンフォース量を得ている。(250Km/h時)
またサーキットが本籍とあるべきクルマらしくベースモデルよりも軽さを追求しているのも特筆すべきポイント。
ドアやボディパネル、ホイールの材質はアルミなどの金属からカーボンファイバー製に置き換えられ、
エキゾースト周りのパイプなどはチタン合金製、各種ガラスは薄手のガラスに置き換えられるなどの軽量化を図っている。
車重1,570KgのSF90と比較して車重は-10kgの1,560Kgと内容か鑑みるとさほど変わっていないように思えるが、
クルマの高い位置にある重量物を軽くしており、マスの集中化と低重心化という点にフォーカスを合わせているのだろう。
これはつまり絶対的な数値よりもドライビングフィール面(ロール量の低減やコーナリング時や、
ステアリング特性の安定感)の改善に寄与するものでドライバーファーストのクルマ造りをしている表れだ。
SF90XXはベースモデルと同時進行で開発が進められ、ラ・フェラーリ、F12ベルリネッタ、488GTB、812スーパーファスト、
ローマ、F8トリブートなど近年のフェラーリ車のデザインの多くを担当しているフラビオ・マンツォーニ氏によるもの。
SF90 XXのフロントフェンダーやリアフェンダーには3本の縦スリットが入っているが、
これはもはや伝説級のクルマであるフェラーリ・250GTOのフロントフェンダー側面に刻まれた縦スリットがルーツ。
288GTOやF40、F12tdfなどのフェラーリのハイパフォーマンスなスペチアーレモデルにだけ組み込まれた意匠である。
推し量るにデザイン担当のフラビオ氏の過去の名車に対するリスペクトが縦スリットには込められているのだろう。
SF90 XXは、フェラーリのハイブリッド技術とスペチアーレに対する思想が融合した、まさに現代フェラーリの到達点だ。
その走りは『XX』の名に恥じず、サーキットとストリートを等しく制する孤高の一台。


今回はボディ塗装箇所の全箇所へのPPF施工とフロントガラスのウィンドシールドプロテクションフィルム施工、
そしてPPF施工箇所へのフュージョンプラスセラミックコーティング施工とクルマを傷や汚れから守るソリューションを、
フルに活用したコンプリートセットとも言える内容でオーダー頂きました。
このような世界的にも希少なクルマを守るソリューションとしてXPELを選んで頂ける事を誇りに思います。
