ポルシェ・911GT3 with Touring Package(Type-992)

今回はポルシェ・911GT3 with Touring Packageをご紹介致します。

タイプ992の911へ走りに強く振った硬派なグレードであるGT3/GT3 with Touring Packageが追加されたのは2021年6月のこと。
GT3はタイプ996から加わった事で知られているが、その内容のハイライトとしてNAエンジン、リアエンジン・リアドライブの2輪駆動、2名乗車仕様、カレラ系よりもグッと低められた車高と、専用のエアロパーツの装備などが挙げられる。

そしてそのGT3にTouring Packageと呼称されるストリートや普段使いを意識したグレードが追加されたのは、
タイプ991の後期型(Type-991.2)からだ。GT3が本来持つ大型のリアスポイラーを潔く撤去しカレラ系が持つ、
本来のボディラインを変えることのない可変リアスポイラーがその代わりに装着されている。

足回りやエンジンは元々のGT3のまま。外観からして走りに強く振ったグレードだと言われなければ分からないし、
詳しい人が見なければ一般的な911カレラとも見分けがつきにくいという「奥ゆかしさ」を手に入れたのが、
このGT3 with Touring Pakageである。逆にカレラ系との見分けるポイントはフロントバンパーと大きなダクトが開いたボンネット。
ただ走りはポルシェ社も公言している通り、まぎれもなく「GT3」と同一内容のスペックである。

エンジニアリング面では言わずもがな伝統の水平対向6気筒エンジンをGT3用エンジンとして仕立てたもの。
このパワーユニットはレーシングカー由来の4.0リッターエンジンであり、タイプ991から使い続けられているエンジン。
出力は510ps/8,400rpm、470Nm/6100rpmの強心臓。これをリアの2輪のみで地面に伝える。

GT3は6速マニュアルトランスミッションとPDK(「ポルシェ・ドッペル・クップルング」と呼称されるデュアルクラッチ式のオートマチックトランスミッション)が用意されている。この個体は6速マニュアルトランスミッションとなっており、
3ペダルのマニュアルトランスミッションで510psの強心臓を転がすのはなかなかに刺激的な事だろう。
それに加えて9,000rpmからレッドゾーンと大排気量エンジンであるにも関わらずかなりの高回転まで許容するのも刺激への更なるスパイスとなる。

絶対的な速さを求めるのであればイージードライブなPDKを選択するのがベターではあるが、
「ドライビング・プレジャー(クルマを操る楽しさや悦び)を感じたい」というオーナーは敢えてマニュアルトランスミッションを選ぶのでしょう。

数字だけを見て「510ps」と言うと一昔前のチューニングカーと変わらないが故、相当に重たいクラッチを想像するだろうが、
タイプ991以降のマニュアルトランスミッションはクラッチが非常に軽く街乗りでも取扱いしやすくなっているのも印象的だ。
またフライホイールもカレラ系のそれよりも軽いものが採用されているのもあり、4.0Lという排気量が大きなエンジンという情報からは想像できない鋭い吹き上がりを誇る。「どこからでも加速できるぞ」と言わんばかりのレスポンスの良さだ。

またタイプ991.2までフロントサスペンションはストラット式であったが、このタイプ992GT3に限って言えばダブルウィッシュボーン式を採用されている。ダブルウィッシュボーン式はサスペンションがストロークした時のキャンバー変化がないことにより、
対地角を適切に保つことができる(=接地性の変化が少ない)ので旋回性能の向上に寄与している。
リアサスペンションはタイプ993以降、継続的に採用されているマルチリンク式。

911はリアエンジン・リアドライブ式である為、フロントとリアのウエイトは当然重量物が集中しているリアの方が重いので、
多くのマスの負担を占める後軸の接地性やグリップ力確保が優先事項である事からかフロントはタイプ991までストラット式で、
事を済ませて来たが、更なる走りのレベルアップの為にフロントサスペンションにもダブルウィッシュボーン式が採用されることになったのは想像に難くない。またフロントサスペンションがダブルウィッシュボーンになったのもトピックであるが、
それに起因することがドライバーに対するフィードバックも豊かになっているのもまた印象的。
つまりクルマから発信される情報量が増え、常にクルマがどのような状況かありありと把握できるようになったのだ。

今回、お預かりさせて頂いた911GT3 Touring Packageはアルティメットプラス使用によるフロントフルセットに加えて、
コンペティションストライプをアルティメットプラスブラックにてインストールしました。

アルティメットプラスは今更言うまでもなくXPEL社製ペイントプロテクションフィルム(以下PPF)の旗艦的アイテムであり、
もはや業界スタンダードのPPF。そしてアルティメットプラスブラックは従来の色変え系フィルムでは存在し得なかった、
まるで塗装のような艶々としたブラックの発色を持つPPFです。ルーフ等や今回の様にワンポイントの使い方にもうってつけのPPFですのでラッピングフィルムの延長線上のような使い方もできます。

今回のようにペイントプロテクションフィルムに加えてアクセントを加えるなどのご提案もできますので、
愛車に変化を加えたりしたい等のご要望がありましたらお気軽にご相談くださいませ。